
「中学・高校で6年間も英語やったのに、全然話せない… このまま一生話せないのかな?」
あなたに、一つ質問があります。
「失敗の原因を考えたことはありますか?」
もし、会社員の方であれば会社でトラブルが起きてしまい、
ミスの原因を深掘りし再発防止策を考えたことがあるかもしれません。
スポーツをしている方であれば、ミスをした原因やシュートを外した原因などを
考えたことがあるかもしれません。
では、英語学習に関してはいかがでしょうか?
わたしたち、日本人は中学・高校で6年間英語を勉強しています。
今や幼稚園や小学校でも英語の活動が行われています。
わたしたちが受けてきた授業の内容は、教科書に沿って、
・単語の発音と意味
・文法の解説
・本文の音読
・本文と文法の訳
・文法のワーク
etc………..
ではないでしょうか。
この指導方法は、東大などの一流の大学を目指す進学校でも行われており、
しかも何十年も行われています。
その結果、「日本人の英語の能力は向上しましたか?」
結果:123か国中、96位
出典:「世界最大の英語能力指数 ランキング」- https://www.efjapan.co.jp/epi/
しかも、毎年過去最低を更新中です。

なので、学校英語のやり方で英語を勉強していては、
英語を話したり、使ったりできるようにはなりません。
そこで、最初の質問に戻りますが、
「失敗の原因を考えたことはありますか?」
仕事であれ勉強であれ、ずっとうまくいくことはありません。
もし、英語が全く上達しないのであれば、
失敗の原因はどこにあるか、見直したほうがいいでしょう。
今回は、「イマージョン(immersion)」という学習法を紹介します。
イマージョンは外国語が上達するという科学的な根拠があります。
日本にいてもインターネット環境さえあればできる学習方法なので、
手軽に始められ、かつ効果が絶大です。
序章:「イマージョン」はこうして生まれた学習法
イマージョン学習は、1960年代のカナダで生まれました。
当時、カナダのケベック州では、
英語話者とフランス語話者の間で言語の壁が大きな社会問題になっていました。
そこで、ある保護者グループが
「英語話者の子供たちに、幼少期からフランス語環境で教育を受けさせたらどうなるか?」
という実験的なプログラムを始めました。
結果は、
子供たちは、フランス語の文法を一切勉強していないのに、
数年後には流暢にフランス語を話せるようになっていました。
しかも、母国語である英語力も落ちていませんでした。
この成功が、「イマージョン教育」として世界中に広がっていきました。
わたしたちは、学校で文法を習っては忘れ、高度な文法を習っては使わずという学習を繰り返しています。イマージョン教育は、文法は学ばなくても脳が勝手に文法を学習する習性を使った学習法なので、長期記憶に保持されます。
イマージョンとは何か?
イマージョンの本質は、「英語を学ぶ」ではなく「英語で学ぶ」ことにあります。
例えば、
- 英語で料理動画を見る
- 英語でゲームをプレイする
- 英語でニュースを聞く
これらはすべて、イマージョン学習です。
「英語そのもの」を勉強するのではなく、
「英語を使って何かをする」ことで、自然と英語が身につきます。
日本の英語学習との違い
日本の英語学習とイマージョン学習の違いを、表で比較してみましょう。
| 項目 | 学校の英語学習 | イマージョン学習 |
|---|---|---|
| 学習言語 | 日本語で英語を学ぶ | 英語で英語を学ぶ |
| 目的 | テストで良い点を取る | コミュニケーションする |
| 方法 | 文法・単語の暗記 | 英語を使う経験 |
| インプット量 | 週4-5時間程度 | 毎日数時間 |
| アウトプット | ほぼゼロ | 継続的に発生 |
| 継続性 | 試験前だけ集中 | 長期的に継続 |
一番重要なのは、英語学習の目的が「コミュニケーションをすること」にあることです。
学校英語の目的は、定期試験や大学受験などでいい点が取れることです。
それらテストは、答えが1つに定まっているものが多く(近年は、自由に自分の考えを書くライティングテストも取り入れられているようですが、採点者にムラが出る)、答えを知っているかどうかで英語力が図られます。
つまり、実際に、
・海外の友達がいて、
・英会話もできて、
・XやThreadsで英語で発信していて、
・フォロワーがたくさんいて、
も、テストで点数が取れなかったら英語力がないと評価されてしまいます。
これでは、教える側も教えられる側も共通目的が「テスト」となってしまい、
どんな学習方法を取り入れても英語力が向上しないでしょう。
イマージョン学習の目的は常にコミュニケーションにあるので、
生きた英語が自然と身に付きます。
イマージョン学習の目的
イマージョン学習には、3つの明確な目的があります。
目的①:言語を「勉強」ではなく「使う」ため
イマージョンの第一の目的は、
英語を「勉強の対象」から「コミュニケーションツール」に変えることです
学校の英語は、テストのために存在しています
文法問題を解く、長文を読解する、単語を暗記する
これらはすべて「英語についての知識」を増やす行為であって、
「英語を使う」行為ではありません
我々日本人は、日本語の文法を完璧に説明できますか?
「は」と「が」の違いを外国人に教えられますか?
おそらく、できない人がほとんどだと思います。
でも、日本語は話せます。
言語は、使うことで身につきます
目的②:自然な言語習得プロセスを再現するため
赤ちゃんがどうやって母語を習得するか、考えたことはありますか?
赤ちゃんは、文法書も単語帳も使いません。
ただ、親や周囲の人が話す言葉を聞いて、
真似して、使ってみて、少しずつ話せるようになっていきます
これが、人間にとって最も自然な言語習得のプロセスです
イマージョン学習は、この自然なプロセスを、大人の英語学習に応用したものです
自然な言語習得のステップ
- 大量のインプット:英語を聞く、読む
- 理解可能なインプット:7割くらい理解できる内容
- 繰り返しの経験:同じような表現に何度も触れる
- アウトプットの機会:実際に使ってみる
- フィードバック:通じた/通じなかった経験
このサイクルを、イマージョンは自然に生み出します。
目的③:継続可能な学習環境を作るため
英語学習で最も大切なことは何だと思いますか?
継続することです。
どんなに優れた学習法でも、続かなければ意味がありません
そして、継続するために必要なのは「楽しいこと」です
イマージョン学習の最大の強みは、「自分の興味があること」を英語で学べることにあります
料理が好きなら、英語の料理動画を見る
ゲームが好きなら、英語のゲーム配信を見る
音楽が好きなら、英語のアーティストのインタビュー動画を見る
英語の勉強が、趣味の時間に変わる。
これが、イマージョンが継続しやすい理由です
最初はまったく何を言っているかわからないと思います
また、前述の7割理解できる内容とも若干かけ離れるかもしれません
しかし、英語の意味に集中する癖がつきますので、
必ずCDやAIではない生の英語を聞くことをおすすめします
なぜイマージョンが必要なのか?
ここからは、「なぜイマージョンじゃないとダメなのか?」を、科学的な根拠とともに解説していきます。
理由①:人間の脳は「使うこと」で言語を習得する
神経科学の研究によると、人間の脳は「知識として覚える」ことと
「使えるスキルとして定着させる」ことを、別のメカニズムで処理しています。
知識として覚える
- 意識的に暗記する(文法ルール、単語リストなど)
- 短期記憶に保存される
- 使わないと忘れる
スキルとして定着する
- 繰り返し使うことで自動化される
- 長期記憶に定着する
- 無意識に使えるようになる
英語を話すためには、「スキルとして定着」させる必要があります。
そのためには、繰り返し使う経験が不可欠です。

でも、文法を知らないと話せないんじゃないですか?
そんなことはありません!
文法は繰り返し読んだり聞いたりすることで自然と身に付きます
よく使わない言い回しは頻繁に出てこないので、気にする必要ありません
理由②:インプット量が圧倒的に足りていない
言語習得に必要なインプット量について、研究者たちは以下のような数値を示しています。
日常会話レベルに達するために必要なインプット量
- 約1,000時間の理解可能なインプット
学校の英語授業のインプット量
- 中学3年間:約350時間
- 高校3年間:約350時間
- 合計:約700時間
足りないんです。圧倒的に。
しかも、この700時間のうち、「理解可能なインプット」はごくわずか
ほとんどが、難しすぎる文法説明や、興味のない長文読解に費やされています
理由③:従来の勉強法では話せるようにならない
実は、従来の英語の勉強法は日本だけ特別に行われているわけではありません
海外でも第二言語の授業は、文法、単語、訳読が行われています
もちろん、結果は第二言語を話せるようにはならないということです
しかし、現在は長年の研究の成果によって、
結果が出る学習方法、出ない学習方法がわかるようになりました
いち早く誤った学習方法から脱却し、成果が出る方法に着手する必要があります
イマージョン学習のやり方【教材選びが9割】
ここからは、実践編です。
イマージョン学習の成否は、教材選びで9割決まります。
なぜなら、間違った教材を選ぶと、
- 難しすぎて挫折する
- 簡単すぎて成長しない
- つまらなくて続かない
からです。
正しい教材を選べば、あとは楽しんでいるだけで自然と英語が身につきます。
STEP1:自分のレベルを知る(初心者 or 中級者)
まず、自分のレベルを正直に把握しましょう。
初心者の定義
- 簡単な挨拶程度なら理解できる
- 中学英語の基礎は何となく覚えている
- でも、実際に話すとなると何も出てこない
- 海外ドラマは字幕なしでは理解できない
中級者の定義
- 日常会話の7-8割は聞き取れる
- 簡単な受け答えならできる
- ゆっくり話してもらえば会話が成立する
- 海外ドラマを字幕ありで楽しめる
大事なのは、背伸びしないことです。
「子供向けなんて恥ずかしい」と思って、いきなりCNNニュースを見ても、理解できずに挫折してしまいます
STEP2:最適なコンテンツを選ぶ
コンテンツ選びは非常に大切です
最初は簡単すぎるぐらい簡単なコンテンツから入るべきで、
簡単すぎたら違うものを選んで、
難しすぎたらすぐやめる試行錯誤をすべきです
以下のように試行錯誤を繰り返し長く聞けそうなコンテンツを探してみてください
具体的な選び方
- 5分視聴してみる
- YouTube、Netflix、何でもOK
- まずは5分だけ見てみる
- 理解度をチェック
- 7割以上理解できた → ちょうど良い
- 5割以下 → 難しすぎる
- ほぼ全部理解できた → 簡単すぎる
- 楽しいかどうか確認
- 内容が面白いか?
- もっと見たいと思うか?
STEP3:興味がある分野の英語コンテンツを見つける
イマージョン学習の最大の魅力は、自分の興味があることを英語で学べることです。
ジャンル別コンテンツ例
| あなたの興味 | おすすめコンテンツ |
|---|---|
| 料理 | 海外料理チャンネル、レシピサイト |
| ゲーム | 英語実況プレイ、ゲーム攻略動画 |
| 音楽 | 洋楽の歌詞、アーティストインタビュー |
| ビジネス | TED Talks、ビジネスポッドキャスト |
| ファッション | 海外ファッション系YouTuber |
| スポーツ | 海外スポーツニュース、選手インタビュー |
| 映画・ドラマ | Netflix、Disney+、Amazon Prime |
大事なのは、「英語の勉強」と思わないことです。
趣味を楽しんでいたら、たまたま英語だった。
これが理想です。
初心者向け教材の選び方
初心者の方は、以下の条件を満たす教材を選びましょう。
条件①:ゆっくりハッキリ話している
- 子供向けコンテンツが最適
- ナレーションがある動画
条件②:視覚情報が多い
- アニメ、絵本、料理動画など
- 見ているだけでストーリーがわかる
条件③:短い
- 1話5-10分程度
- 集中力が続く長さ
おすすめ初心者向け教材
- Peppa Pig(アニメ)
- Curious George(アニメ)
- Oxford Reading Tree(絵本)
- 簡単な料理チャンネル
中級者向け教材の選び方
中級者の方は、少しステップアップしましょう。
条件①:自分の専門分野・興味分野
- 背景知識があると理解しやすい
- 楽しみながら続けられる
条件②:ナチュラルスピード
- ゆっくりすぎない、自然な会話速度
- 実践的なリスニング力がつく
条件③:長さは自由
- 15-30分の動画もOK
- ポッドキャストなら通勤時間に
おすすめ中級者向け教材
- TED Talks(興味がある分野)
- 海外ドキュメンタリー(Netflix)
- 英語ポッドキャスト
- 興味がある分野のYouTubeチャンネル
イマージョン学習の活用方法【レベル別・実践ガイド】
ここからは、具体的な活用方法を、レベル別にご紹介します。
初心者の方へ:まずは5分から始めよう
初心者の方は、1日5分から始めましょう。
「5分じゃ短すぎる」と思うかもしれませんが、大丈夫です。
継続することが、何よりも大切なんです。
おすすめコンテンツ①:Peppa Pig(アニメ)
Peppa Pigとは?
- イギリスの子供向けアニメ
- 1話5分程度
- ゆっくりハッキリした英語
- 日常生活がテーマ
なぜ初心者に最適か?
- 語彙が簡単(日常会話レベル)
- 文法も基礎的
- 視覚情報が多い(見ればわかる)
- 短いから集中できる
どこで見られるか?
- Netflix
- YouTube(公式チャンネル)
- Amazon Prime Video
視聴のコツ
- 最初は日本語字幕でOK
- 慣れてきたら英語字幕
- 最終的には字幕なし
- 1話を3回くらい繰り返し見る
おすすめコンテンツ②:Curious George(アニメ)
Curious Georgeとは?
- おさるのジョージ(日本でも有名)
- 1話約10分
- Peppa Pigよりやや難しめ
- 科学や数学の要素もあり
Peppa Pigとの違い
- 語彙がやや難しい
- ナレーションがメイン
- ストーリー性が高い
レベル感
- Peppa Pigを卒業したら次はこれ
- 初心者の次のステップに最適
まとめ:イマージョンで英語難民から脱出しよう
長い記事を、最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回は、英語学習の新常識「イマージョン」について、成り立ちから実践方法まで、すべてを解説しました。
この記事のポイントを振り返りましょう。
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【囲い⑪ - ターコイズ・大きめ】
📚 イマージョン学習のまとめ
✅ イマージョンとは「英語に浸る」学習法
✅ 目的は「使える英語」を身につけること
✅ 科学的根拠:クラッシェンのi+1理論
✅ やり方:7割理解できる教材を選ぶ
✅ 継続のコツ:好きなことを英語でやる
もう一度、あなたに伝えたいことがあります。
あなたがこれまで積み重ねてきた努力は、決して無駄じゃありません。
ただ、やり方が間違っていただけです。
学校の英語学習では、絶対に話せるようになりません。
このまま同じやり方を続けても、この先も永遠に「英語難民」が生まれ続けるだけです。
でも、大丈夫です。
やり方を変えれば、英語は必ず習得できます。
イマージョン学習は、その答えです。
まとめ:イマージョンで英語難民から脱出しよう
今回は、英語学習の新常識「イマージョン」について、
成り立ちから実践方法まで、すべてを解説しました
あなたがこれまで積み重ねてきた努力は、決して無駄じゃありません。
ただ、やり方が間違っていただけです。
学校の英語教育では、絶対に話せるようになりません。
このまま同じやり方を続けても、この先も永遠に「英語難民」が生まれ続けるだけです。
でも、大丈夫です。
やり方を変えれば、英語は必ず習得できます。
イマージョン学習は、その答えです。
楽しみながら、ゆるく長く継続しましょう


